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2008年モデル大量リコール
2009年モデルデビュー

2008年北海道旅

 朝テントから這い出ると、昨日夜遅くまで雨が降りしきる日本の東の果てにあるキャンプ場の東屋の下でヌルいビールを片手にお互いの旅の話をした青年が、バイクのエンジンをかけるため路面が平坦なところまで重そうなマシンを押していた。

 リヤキャリアにはお世辞にも整理整頓されて積まれているとはいえないゴチャゴチャとした荷物がかろうじて太いネットに結びつけけられていたが、何本かのホクレンの旗が彼が長い旅を続けている証として誇らしげに荷物に突き刺さっていた。

 遠慮勝ちにセルボタンを押すと甲高いオフロードバイクのアイドリング音が一瞬静かなキャンプ場に鳴り響いたが、彼はそれを詫びるかのように遠慮勝ちな目で私に会釈をし飛び出していった。

 北海道へ訪れるライダーは90年代前半をピークに減少を続けているらしい。北海道ツーリングライダーが「ミツバチ族」と呼ばれていた1970年代の頃から、荷物を満載して道内を駆け巡るライダーの姿は北海道の短い夏を彩る風物詩となっていて、「オートバイは邪魔者」という認識がまだ一部で強く残る日本国内の他地域と比較すると、北海道はライダーに対し大らか、かつ歓迎ムードが高い地域だ。

 広大な自然の中を渋滞なく走り続けられるすばらしい道路事情、北の大地と豊かな海がもたらしてくれる味覚、無料や格安のキャンプ場、ライダーハウスなどのインフラがライダーを暖かく迎えてくれる。

 しかし、今年はさらにライダーが少ないということを各所で聞く。1リットル200円を突破しそうな勢いのガソリンの価格やしばらく続いている世の中全体の不景気のせいだろうか。そしてハーレーの数もかなり少ない。

 ナックルやパンで週末のツーリングイベントをこなすのは年とともにしんどくなりつつある。歳とともに面倒なことに対する気力、体力が落ちているとは考えたくないが、限られた時間を無難に効率的に過ごすなら高速道路を快適に走れるツインカムを手に入れるのがベストな選択だと思う。

 アメリカでも平均速度が120キロを超えるインターステートを走っているのはツインカムばかりで巡航速度が遅いショベル以前のハーレーはバックロード(いわゆる裏道)を走るしかない。
 ショベルならインターステートの巡航にギリギリ耐えられるのかもしれないが、バイクのパフォーマンスの限界の走りでラリーのような旅を続けるとバイクの至る所にツケがくることは避けられない。
 バッテリのコンディションがいまいちのデュオグライドでこの夏はこれらの行為を行うことも考えたが、今回は自転車で旅に出た。

 わずかな荷物を積んで一日に10時間も北海道の大地を自転車走るとただでさえ広大な空間が一段と広くなり、いつまでペダルをこいでも一向に変わらない景色が自分の力の無力感を毎日強く感じさせてくれる。

 何日かそれが続くともう走る以外のたいていのことはどうでもよくなってきて、一日が終わるとまずはバイクのメンテナンスをやり、食事は簡単なもので済ませ、明日の英気を養うため早めに休息する。よい旅はラリーに似てシンプルで無駄がない。 旅の最後に数日を過ごした羅臼のキャンプ場には、外国からのバックパッカーが数多くやってきていたたくさんいた。彼らはどこからか札幌までやってきて、そしてヒッチハイクで何日もかけてユネスコ世界遺産に認定された知床を目指してやってくる。もしあなたのリヤシートが空いてあるなら北海道に来るときにはもうひとつヘルメットを持ってくるといい。きっとイージーライダーのような気ままなヒッチハイカーとの道連れの旅が楽しめるはずだ。
 「結局、行くも帰るもないんだ。要はそこに居るってこと。その瞬間を生きているってこと。」何年も旅を続けている彼らの哲学は要約するとこのようなものだったと思う。

 ハーレーで旅をしていると「(四輪で行きゃいいのに) 暑い?寒い?」「盗まれる」「音がうるさい」「(この道楽するのに)幾らするの?」といった周囲の揶揄攻撃にさらされてしまう。

 旧車に乗るならなおさらで、朽ち滅びゆく年老いたマシンに乗って、ABSのついた車や100馬力超のバイクにもまれながら走るのは大変な反社会的な行為と言われても仕方がないかもしれない。
 HDのスローガンのひとつには、「If I have to explain, you wouldn't understand (HDの価値は自明であり、説明を求める人には理解できない)」とある。

 私はそのハイカーにこう言った。「楽(ラク)と楽しいは違う。それが二輪に乗る人の哲学だろうよ。」

(2008年9月発売のクラブハーレー誌に掲載)
 

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